絶滅が危ぶまれる海の生物をまとめた国の「海洋生物レッドリスト」をめぐり、信頼性に疑問があるとして環境NGOが改善を求めている。国際的な判定基準では「絶滅危惧種」なのに、国の判断で外された種があるからだ。

 動物や植物など地球上の生き物は、乱獲や生態系の破壊などにより数が減り、最悪の場合には絶滅する恐れもある。絶滅の恐れがどれぐらいあるのかを専門家が種ごとに科学的に評価し、危険度を「絶滅」「絶滅危惧」「情報不足」などのカテゴリーに分類したものが「レッドリスト」だ。国際自然保護連合(IUCN、本部・スイス)が1960年代に初めて作った。

 日本も陸の生き物については91年以降にレッドリストを作り、自然保護に活用している。海にすむ生き物は情報が少なく作成が遅れていたが、今年3月に環境省と水産庁が「海洋生物レッドリスト」を発表した。約1万種を評価し、サンゴの仲間オガサワラサンゴ1種を「絶滅」としたほか、甲殻類30種、魚類16種、サンゴ類6種、その他の無脊椎(むせきつい)動物4種の計56種を「絶滅危惧種」に分類した。

 だが、国の資料を分析すると疑問が浮かぶ。IUCNの基準だと絶滅危惧種になるのに、そうならなかった種があるからだ。

 例えば、日本近海の「新種」として2009年に報告されたナガレメイタガレイは、漁獲量が減少傾向にある。そのため、いったんは絶滅の恐れが増大している「絶滅危惧2類」と判定された。しかし、似た魚と混獲されており、実際の数はもっと多い可能性もあるとして、国は「絶滅危惧種と判定することは適切ではない」と判断。最終的には「情報不足」のカテゴリーに分類された。

 ほかにも食用魚のキグチ、マエソ、マナガツオ、マルアジもIUCNの基準では絶滅危惧種になるが、国は「データの年変動が大きい」などとして最終的にリストから外した。

 日本もIUCNの基準によって分類しているのに、なぜ判断が分かれるのか。

 IUCN日本委員会の道家哲平…

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