荒井氏と増山氏は、東京芸術大学在学中に出会った。戦後の高度成長期の日本で作家活動をしていた両氏は、効率化を求める社会への疑問から、「ものづくりの起源」に立ち戻るため、原始的な工芸様式を残す国や地域への旅を始める。そこで、インドネシアで出会った伝統的技法に魅了された。
作品を生み出すことが「人は土地(とその受け継いできたもの)とともに生きていくこと」に重なっているのだと気づいた二人は、作品を通して土地とともに生きることの価値や安らぎを伝えたいという思いを抱くようになったという。
半世紀以上にわたって、日本でも稀有なテキスタイル・アーティストとして活動を続けてきた二人の集大成ともいえる今回の個展。初期から最新の作品まで、インドネシアの島々にインスピレーションを求めた作家の軌跡が感じられるダイナミックな作品群が展示される。
増山氏は「我々のような海外の作家が、あえてその土地の昔からのやり方で製作することで、島で生きる人たちにその良さを見直してもらい、土地に伝わる文化や生活を少しでも守れるのではないだろうか」と語る。
Our Road
Batik x Ikat = Modern Japanese Textiles
By Ken Arai & Kiyo Masuyama
■開催期間:2018年6月21日(木)?7月3日(火) ※金・日曜は閉館
■会場:Tenri Cultural Institute of New York (43A WEST 13TH STREET, NEW YORK NY 10011)
U.S. FrontLine 2018年6月7日
http://usfl.com/mimiyori/event/117307