「おっすおっす。もこ田めめめだよ。🐑」 
視聴者数145人の前で配信開始でのお決まりの挨拶をこなした。 
数年前のVチューバーブームの煽りを受け、数万人以上の視聴者を集めるアイドル部のメンバーだったと言うかつての栄光はもはや見る影もなかった。 
「今日はね、凸待ち雑談だよ。みんなめめめに質問してね。🐑」 
2021年、ブームは流れ、収益の確保が見込めなくなったVチューバー事業をアップランド社は手放した。 
アイドル部のメンバーとは疎遠になりながらも、めめめはこうして細々配信を続けていた。 
「さっそく来た。もしもし。🐑」 
『お前アイドル部だった奴だろ?いつまでこんな配信続けるの?』 
「こんな配信。🐑」 
『シロだっけ?四天王から蹴落とされた雑魚に可愛がられてた内が関の山…』 
「違う!!シロちゃんはめめめにとって…永遠の星で…憧れで…🐑」 
『もうシロもアイドル部もいねーんだよ!』 
(ブチッ) 
「ハァー!ハァー!…だめだだめだ…🐑」 
耐えかねた彼女は、パソコンの電源を勢いよく引き抜いた。 
「うう…うう…みんなどこに行っちゃったんだよぉ。みんなぁ…シロちゃん…うわああああああああああああん!!🐑」 
泣いてもあの頃には戻れないのは自分が一番わかっているが、彼女に涙は止められなかった。