これはO泉学園駅付近での話ね。
この辺りには友達の家があってね。たまに仕事遅くなるときとか、翌朝早いときなんかは泊めて貰ってたんだ。
俺んち結構会社から遠いからさ。
だから俺がこの辺り通るのは夜遅くが多かったんだ。
その日ももう10時過ぎだったと思う。

これはあんまりよくないの分かってるんだけど、人通りも少なかったからさ。俺歩きながらスマホ触ってたんだ。歩きスマホダメ絶対。今回は見逃して。

で、あんまり回り見ないで歩いてたら急に背中にむわっと変な熱気を感じたの。すごく気持ち悪い熱気。
思わずビクッとして立ち止まった。そうすると、改めて熱気の強さを感じるわけ。
そして、背中からは変な息づかいのようなものが聞こえるんだ。
ストーカーか?いや、俺男だよ?
とかそんときは考えられなかったわ。体固まっちゃって動けないの。当然振り向けもしない。
そうすると不思議でさ、なんでか体は動かないのに頭はすっと冷静になるんだ。
振り向く勇気はないんだけど、なんというか頭では後ろにいる何かの正体を探ろうとしてるんだ。

耳をすまして、息を殺して、後ろのやつの気配を探ってた。

そしたら変なことに気づいた。


続きます。