【悲しい】スナイパイ72がもうどこにもない😭
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「遅刻!遅刻〜!」
ミウたんの朝は今日も騒々しい
ゆとりを持って15分前に仕掛けた目覚ましにきちんとおっきしたミウたんだったが、
朝のバスタイムでまさかの二度寝、更に卵おじやの朝食をレンゲでかき混ぜてる最中に奇跡の三度寝、完全にタイムスケジュールを30分オーバーし、今慌て愛車の待つガレージへと降りて来た
ミウたんは息を弾ませながら、颯爽と階段の最後の手摺を跨ぎ飛び、ドラム缶の上のキーホルダーを拐って愛車のドアに手をかけた
『ピンクミウたん号』
レトロなクラシックカー……に良く似せた国籍不明、名称不明の青春の相方
ミウたんのライフカラーである、ドぎついパッションピンクのボディに一目惚れし、清水の舞台から飛び降りる覚悟で購入したのだ
ドアにはミウたん自ら描いた、自身のディホルメ像がある
本来そこには大きな打痕があった
いや、三万円で買ったこの中古車には至るところに打痕や傷があった
バンパーには何故か人の髪の毛が絡まっていたし、フロントガラスには洗っても消えない手形もあった
それでもミウたんはこの車を気に入っていた
だからこそ少しでも可愛く綺麗に見える様に、一生懸命ペイントしたのだ
機械にも情が通じる物なのか、今では時折、ピンクミウたん号が目を瞬かせるかの様にヘッドライトを点滅させたり、運転中のミウたんの首筋に吐息を吹き掛ける、と言った愛情表現も見せる様になったのだ
まさに青春の相棒
そんな愛車の運転席に飛び乗り、エンジンを掛け、アクセルを踏み込む
「行っくよ〜!」
主の気合いに応えるかの様に、ピンクミウたん号はスルスルとガレージのシャッターを抜けて行った (アイツだ! またアイツがいた!)
なんとか遅刻を回避したミウたんの機嫌が急に悪くなる
ここは近所のしまむら
今朝のチラシに度肝を抜かれたミウたんは、最近毎朝欠かさない近くの公園に住み着いた野良ラムネへの餌やりをキャンセル、ピンクミウたん号を駈ってこの "触れ合いショッピングセンター" の一角、しまむらの開店シャッター待ちの列に滑り込んだのだ
三枚で何と500円! 女性用下着の特売は半年に一度のプレミアイベントだ
基本、ミウたんは二枚のパンティをローテーションし、最もかわいい一枚を勝負着として保管する、通称ツーバック&スィーパーと(ミウたんが)呼ぶフォーメーションサイクルを維持していた
だが先月、ツーバックの一角が不慮の事故から現役を退き、スィーパーをツーバックに回す苦肉の策を強いられていたのだ
ヘビーローテーション故、選手の現役は短い…
今回のこのトライアウトで選手層の強化を謀るのが目的だ
だが、開店と同時にお目当てのワゴンに向かうミウたんの脇を猛烈なスピードでオーバーラップする影…
青い長髪とマフラーを颯爽と靡かせ、ミウたんの視界の先を行くこの女
宿敵… という言葉があるなら、まさに彼女こそそうであろう
ミウたんの狩場であるこのしまむらに度々現れては、お目当ての選手を悉く拐っていく凄腕スカウター
一度だけレジで彼女の名前を聞いた事がある
たしか…… マ… ア… そう、アミバだ
この女が現れてからミウたんのチーム編成はガタガタだ!
今日という今日は負けられない!
絶対に負けられない闘いが此処にあるのだ! 「あ〜た〜し〜の〜〜!」
「返しなさいよ〜!」
店の中央に位置するワゴンセールの台車を挟み、三枚一組純白パンティを奪い合うミウたんとマ…アミバ
辺りには二人以外人影はない 静かな朝のしまむら
店員だけが忙しそうにあちこちを回る
そもそも朝のシャッター待ちをしていたのはミウたんと、いつも朝から晩までしまむらに入り浸り、他人が手を伸ばした品物を一瞬速く掠め取る、通称エナババアと呼ばれるお婆さんだけだった
人気の無いワゴンの上で繰り広げられる不毛な闘い…
同じ商品はまだ沢山その下に…
だがこれは品物の奪い合いではない プライドとプライドを賭けた女の闘いなのだ!
まさに神拳勝舞! そんな厨二的妄想!
「今後一切、ウチの店には出入り禁止な? 本部にも写真回すから」
1時間後、しまむらの事務所には正座させられるミウたんとマ…アミヤの姿があった ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています