【10月18日 AFP】
米国の研究チームが開発した永続的に滑らかな自己潤滑性のゴムにより、コンドームの使用が促進される可能性があるとの研究論文が17日、英国王立協会(Royal Society)のオンライン科学誌「ロイヤルソサエティー・オープンサイエンス(Royal Society Open Science)」に掲載された。

 今回の研究で行われた室内実験では、体液が存在する場合において、特殊処理の薄膜が施されたコンドームの表面が、滑らかで滑りやすい性質を示すようになることが確認された。

 水性または油性の潤滑剤が塗布された市販のコンドームとは異なり、この親水性(親液性)のゴムはそれ自体の「滑らかな感触」がほぼ永久に保持される。

 論文は、「被験者の大半(73%)が、潤滑性被膜を有するコンドームの方を好むと答え、また長時間にわたって滑らかさを保つ、本質的に潤滑なコンドームであれば、被験者自身のコンドーム使用率を高めることができるとの意見も得られた」としながら、「潤滑性の被膜は、摩擦に関連する(女性および男性の)痛みを軽減し、使用者の満足度を高めるための効果的な戦略となる可能性を示している」と結論付けた。

 コンドームは避妊具であると同時に、性感染症の拡散も防止する。羊の腸膜から作られるものもあるが、大半は合成物質でできており、その素材はゴムかポリウレタンとなっている。

 だが潤滑剤がなければ、これらの素材はすべて「繰り返しの連結」の間に摩擦で擦り切れる。「繰り返しの連結」は論文の中で前後運動を表現するために用いられていた言葉だ。論文では、軟化剤を添加しても使用に伴い徐々に効果が消えてしまうことについても触れている。

 コンドームの使用をめぐっては、米国で実施された全国調査で男性の77%、女性の40%が性交渉時に不快感があり、快感が損なわれると指摘している。コンドームを使用しない理由としてこの点を挙げる人は多い。

■水分を捕らえる被膜

 マーク・グリンスタッフ(Mark Grinstaff)氏率いる米ボストン大学(Boston University)の研究チームはこの問題に対処するために、水分活性化分子の薄い高分子被膜を施した。この被膜は、ゴムのように水分をはじくのではなく、逆に水分を捕らえる。

 論文によると、この被膜処理を施したコンドームは、素材のゴムには影響を与えずに「大量の水分や1000回に及ぶ繰り返し連結にさらされた場合でも一貫して低摩擦を実現」したという。

 今回の接触試験に参加したボランティアの被験者らは、長時間にわたり滑らかさを保つ「本質的に潤滑な」コンドームに対して好印象を示した。ただ、米食品医薬品局(FDA)の承認がまだ得られていないため、親水性ゴムを用いた性交渉時の試験はまだ実施されていない。

 それでも今回の研究では、被膜処理コンドームの使用を検討したいと答えた被験者が全体の9割以上、永続的に滑らかなコンドームが市販された場合は自身のコンドーム使用頻度が高くなる可能性が高いと答えた被験者も全体の半数以上に上った。(c)AFP

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