「もし露日関係に変化が起こるならば、それは今起こるはずだ」。
テンプル大学ジャパンキャンパスの上級准教授のジェームズ・ブラウン氏は、
5月末に行われたプーチン大統領と安倍首相の会談結果をこのように評価している。
同氏は、「領土問題に終止符を打つ」という安倍首相の決意にもかかわらず、
安倍氏の対露政策は失敗したとの見方を示している。

ブラウン氏は通信社スプートニクのインタビューで、現段階での露日関係の評価、
そして安倍首相から次の首相に交代した後の露日関係の行方について語った。

■誤算はどこにあったのか?

ブラウン氏によると、失敗の原因の一つは、現行のロシア法とは異なる
「特別な制度」の下でのクリル諸島での共同経済活動を実現するという安倍首相の「成功の望みのない」提案。
ブラウン氏は「日本の外相は、安倍氏とプーチン氏の会談では法的問題が一切協議されなかったと述べた。
両氏が述べたのは、島への訪問をより便利にするための解決策の摸索を続ける意向のみだった。
しかし、どんな法典がこれをコントロールするのか?どのような機関、どのような税当局については、
一切合意しなかった。これは共同経済活動がこの先発展しないことを物語っている。
そしてこれが、私が指摘する交渉に失望した主な原因だ」と語った。
ロシア側は、クリルで稼働している自由経済区の既存の特別法の枠組みの中で作業することを提案している。
だがロシアに既に存在する法的基盤を受け入れることは、日本にとって降伏を意味するとブラウン氏は考えている。
一方、クリルを自国領土と考えるロシアは、そこに別の法律をつくることには同意できない。
なぜならクリルが一種の「グレーゾーン」であることを認めることになるからだ。
数日前、ロシアのガルージン駐日大使は「スプートニク」のインタビューで
「我々は自らに向けられた領土的要求を、南クリルも含め、いかなる方面でも受け入れることはない」と改めて述べた。


またブラウン氏は失敗のもう一つの原因として、会談に対する不当に大きな期待を挙げ、
「安倍氏は、ロシアと関係では突破口に近づき、自身の任期中に領土問題を解決したいと何度か述べた。
そのため、私のように人々がプーチン大統領との会談結果に失望したと述べるのは、安倍首相に責任がある。
安倍首相自身が我々の期待を高めたのだ」と語っている。
ブラウン氏によると、安倍首相は2012年に再び首相に就任した後、最も野心的な道を進むことに決めた。
だが西側の制裁によって孤立したように見えたロシアが、
領土問題で比較的容易に譲歩するだろうという安倍首相の計算は間違っていた。
ブラウン氏は「この計算の一部はプーチン氏自身だった。
ある意味プーチン氏は親日家で、日本にとってメドベージェフ氏よりも分かりやすく、好ましい。
プーチン氏の柔道への情熱と、同氏の娘の一人は日本語を勉強していたと思うが、
これらはすべてプーチン氏が日本を愛していることを物語っている。
その他、プーチン氏は強い指導者であるため、譲歩することができない」と語っている。

■安倍首相でないとしたら、次の首相は誰か?

相次ぐ不祥事で、安倍首相の支持率は低下した。
最近実施された世論調査によると、安倍内閣の支持率は38.9%。安倍氏は現時点で強い地位を築いているが、
自民党総裁選挙で負ける可能性も否定できない。
ブラウン氏は、安倍首相はそれを理解した上でロシア関連の出来事の進展を急いでいるとの見方を示し、
「ロシアにはすでに島がある。ロシアはゆっくりとしたテンポで問題解決に向けて作業する用意があるが、
安倍首相は急いでいる」と述べている。
またブラウン氏は、安倍首相の次の首相が誰になろうとも、
露日関係の発展の動きは目に見えて鈍化するだろうとの見方を示し、
次のように語っているー「3人の名前が挙げられている。それは主要候補者の石破氏、
潜在的候補者の岸田氏、そして小泉氏だ。小泉氏は次期首相ではなく、次の次の首相、
あるいは安倍首相がさらに3年間首相を務めた場合、
小泉氏が次の首相になる可能性があると言われている」。

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続く)