【話題】マリカー判決、コスプレ著作権「パンドラの箱」はなぜ開かなかったのか? 福井弁護士が判決文を読み解く

1しじみ ★2018/11/05(月) 14:47:55.33ID:CAP_USER
マリオやヨッシー、クッパなど、レースゲーム「マリオカート」のキャラクターの衣装を貸し出して、「公道カート」で遊ばせるのは、不正競争防止法や著作権法に反する――。

ゲーム大手「任天堂」がこのように主張して、公道カートのレンタル事業を展開する「MARIモビリティ開発」(当時:マリカー社)を訴えていた民事裁判で、東京地裁は9月27日、MARI社に対して、損害賠償1000万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

このマリカー訴訟の判決文は、しばらく閲覧できない状況だったが、10月24日ごろから、裁判所のホームページで公開されている。判決文は84ページにも及ぶが、東京地裁は、不正競争行為について判断したものの、著作権侵害については踏み込んでいない。

今回の東京地裁の判決をどう読み解けばいいのだろうか。著作権にくわしい福井健策弁護士に聞いた。

●キャラクター使用の不正競争防止法違反は広く認定した
今後、それぞれの論点については、詳細な検討がおこなわれるだろうから、今回は速報的にレビューしたい。判決が何を認めたか、ざっくりと表にしてみた。

まずは不正競争防止法(不競法)の争点だ。これは大きく(1)「マリカー」という商号等の使用、(2)「maricar.xxx」などのドメインネームとしての使用、そして(3)マリオ、ルイージ、ヨッシー、クッパという4つのキャラのコスプレ衣装及びマリオ人形の営業使用に分かれる。

(1)商号等については、「マリカー」という言葉は、任天堂の表示として日本語では十分な周知性があるとして、マリカー側がこれを営業上使うことは、顧客を誤認させる不正競争行為(不競法2条1項1号)であると判断した。(2)ドメインネームも同様だ(こちらは13号)。

●マリオやクッパなどを商品の出所を示す「トレードマーク」と認定した

注目は、(3)の4つのキャラの扱いだ。裁判所は、ゲームの世界的な知名度に照らし、これら各キャラ自身を任天堂商品の単なる要素ではなく、その「象徴的存在」であると見た。

マリオ系ゲームの国内外での人気ぶりは、たしかに凄まじく、累計販売本数は3億2000万本(2016年8月時点)。特にマリオは「ゲーム史上最も有名なキャラ・トップ50」で、クッパは「ゲーム史に名を残す悪役キャラ・トップ50」で、それぞれ第1位としてギネス世界認定されているらしい。安倍首相もコスプレするわけである。

踏み込んだのはここからで、裁判所はその結果、4つのキャラ自体がこの任天堂ゲーム群や商品の出所を示す、いわばトレードマーク(商品等表示)になったと認定する。さらに、マリカー側が、ゲームと同様のカートをレンタルする事業でこの有名表示を使ったことを重視して、「コスプレ衣装の貸出」「従業員によるコスプレ」「コスプレの様子が写された写真や動画の公開」「マリオ人形の店舗設置」のすべてについて、「需要者は任天堂と同一グループの者による営業か、任天堂からの使用許諾があると誤信する恐れがある」と判断した(75頁ほか)。

コスプレについては、それが元の任天堂のキャラといくつかの共通点を有することから、「需要者は元キャラを連想する」として、かなりあっさりと類似性を認めている。むろん、公道カートレンタルで社名も「マリカー」だったといった今回のケースの特殊事情も作用しただろうが、「既存キャラのコスプレ衣装や人形を営業上使うこと」に相当広く不競法の網がかかりそうで、今後大いに議論される点かもしれない。

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弁護士ドットコムニュース
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