和歌山県田辺市上屋敷2丁目、田辺第一小学校近くで70年以上親しまれてきた稲田文具店が今月末で閉店する。画材が充実しており、美術愛好者らにとってなじみの店だった。
同店は店主の服部潔子さん(44)の祖母、稲田ミツエさんが開業した。2年前、長年店主を務めた父の稲田三郎さんが亡くなったのを機に、服部さんが引き継いだ。
店内には鉛筆やノートといった文具のほか、油絵用をはじめとする絵の具、画用木炭、額縁などが並ぶ。
店舗併用住宅で、服部さんは高校卒業までここで暮らした。「小学校のころは、文房具が選び放題なのが娘の特権だった。当時と同じ文具がいまも残っており、昭和レトロな雰囲気を喜んでくださるお客さんもいる」と話す。
ただ、文具店を取り巻く環境は大きく変わった。服部さんが通っていたころの田辺第一小学校は、1学年4クラスだったが、少子化により現在は1〜2クラス。100円ショップやホームセンターにも文具はある。小学生の来店は少ないという。
画材もいまはインターネット通販で購入できる。美術愛好者の来店も少なくなった。その上、築86年の建物は老朽化が著しく、閉店を決断した。
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(2018年3月29日更新)