0001紅あずま ★
2017/12/08(金) 13:35:38.73ID:CAP_USERhttp://www.zakzak.co.jp/images/news/171208/lif1712080002-p1.jpg
甘くない梅酒(中央)も絶品だ
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フクノハナの麹
★兵庫県「太田酒造 灘千代田蔵」(下)
江戸城を築城した太田道灌の子孫が酒造業を始めたのは、江戸時代の後期からだった。場所は、三代将軍家光に命を受けて移り住んだ近江草津である。
現在も、滋賀県草津市に酒蔵があり、太田家19代当主が社長をつとめる。
昭和37(1962)年には神戸市の灘に進出し、灘千代田蔵を開いた。ここを任されているのは、太田酒造社長の甥にあたる北尾龍俊さんだ。
灘千代田蔵を訪ねると、小さい蔵ながら、独特のコンセプトで酒をつくっていた。
以前は灘でも滋賀の蔵と同じ「道灌」という銘柄をつくっていたが、3年前から新たに「千代田蔵」という銘柄をリリースし、独自路線を歩んでいるのだ。
「千代田蔵」は、搾りたての酒が槽口(ふなくち)から出てきたばかりを、そのまま壜詰めしたような酒を目指しているので、無濾過生原酒が基本だ。
こういう酒は、得てしてコクたっぷりで重たい酒が多いが、北尾さんの理想は、「おかわりのできる無濾過生原酒」。
それには、宮水に代表される灘の水が欠かせない。柔らかい軟水ではないので、スッキリとキレる。
しかし辛口であっても淡麗では物足りない。スッキリとしていながら、味はしっかり出したいので、酒米はフクノハナを使う。
兵庫県の豊岡で作られているこの米は、とくに味の乗りが良く、北尾さんのお気に入りだ。
自信作の「拾伍」を飲ませてもらった。
本来、日本酒は16〜17度あるが、あえて15度までアルコール度数を落としている。これが軽いのに飲み応えのある「ゆるふわ」な酒。旨口なのにフルーティーですいすいイケる。
アルコール度数を落とす際、原酒を水で薄めたのではなく、米の浸漬時間を調整し、麹菌の繁殖をコントロールすることにより、アルコール度がちょうど15度になるように醸したという。
もうひとつ、驚愕したのが日本酒仕込みの「道灌梅酒」。甘くない梅酒はたいてい美味しくないのだが、この梅酒は全然甘くないのに旨い。おそらくこれまで私が飲んだ梅酒のトップ3に入る旨さだろう。
リリースしてまだ3年なので知名度は低いが、「千代田蔵」はこれから先が楽しみな酒。
太田道灌の優秀な遺伝子は、500年以上の時を超えて、旨い酒に結実していた。
■江口まゆみ 酔っぱライター。世界中の知られざる地酒を飲み歩き、日本でも日本酒、焼酎、ビール、ワイン、ウイスキーのつくり手を訪ねる旅を続ける。近著は『ビジネスパーソンのための一目おかれる酒選び』(平凡社刊)。
あえて15度まで落とした絶妙「ゆるふわ」 旨口なのにフルーティーですいすいイケる
zakzak:2017.12.8