厳しい表情で稀勢の里の引退について語る田子ノ浦親方=16日、東京都江戸川区の田子ノ浦部屋
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019011600519&g=spo
◇本人から「引退させてください」と
横綱稀勢の里の引退は、初場所4日目の16日午前8時40分ごろ、田子ノ浦部屋(東京都江戸川区)に集まった報道陣の前で、師匠の田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)から明らかにされた。親方とのやりとりは次の通り。
−結論は。
「きょうは出場しません。きょうで稀勢の里は引退をします」
−理由は。
「本人からきのう聞いて。理由は深く語りませんでしたが、やっぱり見ていても思ったような相撲が取れていない。全力では取っていましたけど、なかなか取れていないのが現状。横綱ですから結果を出さないといけない。そういう結果につながらなかったということだと思います」
−昨夜は2人で話したか。
「2人で話した」
−ゆうべ結論が出たか。
「そうですね。遅い時間だったので。きょうもありますし、朝も。でもきのうの夜話したことが全部だったと思う」
−本人からはどんな言葉で。
「引退させてください、引退しますと」
−表情は。
「至っていつも通り、平常心ではあるように見えました。いろんな思いはあるなと思いました」
−親方からはどんな言葉を。
「自分からは、そうか、ご苦労さんと。それ以上はちょっと声を掛けられなかったですね」
−思う相撲が取れなくなった原因は。
「それはもう、本人の口からではないので。ただ、一生懸命稽古もやっていましたし、できることをやって、なかなか皆さんの前で結果を出せなかったというのは、気持ちの面もあったんじゃないですか」
−引退する理由は聞いたか。
「いや聞いていないです」
−もう少し現役を続けてほしかったか。
「結果を出せるならもっとやってほしかった、できるんじゃないかと思っていましたけど。でも稀勢の里は我慢強いですから。そういう力士が引退を話すということは、それなりの覚悟と気持ちがあったと思うので。それを考えれば、続けてほしいとか(いう話に)はならなかったですね」
−親方になって協会に残ってほしいと。
「まだそこまで話していませんが、将来的には」
−師匠として引退の決断をどう受け止めているか。
「現役の時から一緒にやってきたので。師匠としてそういう言葉はふさわしくないかもしれないが、まだ現実を見られていないというか。ちょっとまだそこまで考えられていないですね。信じられないというか、そこまで考える余裕がないです」
−今場所に入ってからの横綱の様子は。
「いつも通り。別に気負っている感じもなかった」
−ただ、昨夜は違ったと。
「平常心ではあったと思いますけど、一大決心して来るぐらいなので、いろいろな思いがあるなというのは顔を見ればすぐ分かるので」
−3日目に負けたら引退するとかいう話し合いは事前にあったか。
「そんなのはないです」
−どんな力士だったか。
「あまり話はうまい方ではないと思いますけど、一生懸命でまじめ。一番は素直なことですね」
−横綱としての2年間、苦しかったと思うが。
「横綱になってくれてすごいうれしい面もありましたけど、一番近くで見ていれば、本人がすごい格闘しているなというのは分かりますし。2年はあっという間だったなと思います」
(時事ドットコム編集部)
(2019/01/16-11:09)