77万年前の地層 国際標準地の登録申請 チバニアンか
NHK 6月7日 21時02分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170607/k10011009511000.html
およそ77万年前に地球の磁場が逆転したときの痕跡を残している千葉県市原市の地層について、茨城大学などのグループは、地球の歴史の一時代を代表する「国際標準地」としての登録を目指し、7日、国際学会に申請しました。申請どおりに認められればこの地層が示す時代に「千葉時代」を意味する「チバニアン」と名付けられる可能性があり、審査の行方が注目されます。
地球の歴史の一時代を代表する「国際標準地」としての登録を目指すのは、千葉県市原市の養老川沿いにあるおよそ77万年前の地層です。
茨城大学や国立極地研究所などで作る研究グループによりますと、この地層に含まれている鉱物や火山灰などを調べた結果、およそ77万年前に、地球の磁場、つまり「N極」と「S極」が逆転して今の状態になったことを示す痕跡がはっきりと確認されたということです。
このため、研究グループは、この地層について、およそ77万年からおよそ12万年前にかけての地球の一時代の特徴を最もよく表す「国際標準地」としての登録を目指し、日本時間の7日夜、世界の地質学者で作る「国際地質科学連合」に申請しました。
同じ時期の特徴が読み取れる地層として、イタリアも2か所を申請する見込みで、「国際地質科学連合」は、今後、市原市を含む3か所の中から1か所を選ぶことになる見通しです。
市原市の地層が選ばれた場合、この地層が示す時代に「千葉時代」を意味する「チバニアン」と名付けられる可能性があり、国際学会による審査の行方が注目されます。
申請を前に、7日午前、文部科学省で記者会見を開いた、研究グループの代表を務める茨城大学の岡田誠教授は、「地球の歴史の中でも国際標準地を登録できる時代は残り少なくなってきている。日本で、国際標準地として登録できる可能性があるのは千葉の地層だけで、地球の時代に日本の地名をつけられる最後のチャンスだと思っている」と述べました。
●極地研「登録がかなうこと願う」
研究グループのメンバーで、国立極地研究所の菅沼悠介准教授は「この半年間、申請に向けた追い込み作業を続け、やりきったという思いがある。3日前にも研究グループのメンバーの1人であるフランスの研究者から新たなデータが送られてくるなど、最後の最後までデータの質を高める努力をした。今回の申請でライバルとなるイタリアの地層と比べて、千葉の地層は、太平洋に面していることからより地球全体の状況を指し示すものとして価値があると思うので、ぜひ、登録がかなうことを願っている」と話しています。
●「更新世の中期」が「チバニアン」に
地球が誕生しておよそ46億年の歴史の中で、北京原人やジャワ原人が出現し人類が進化したおよそ258万年前からおよそ1万年前までの時期は「更新世」と呼ばれています。この時期は、氷河期と比較的温暖な間氷期が繰り返された時代で、さらに4つの時代に区分することができます。
そのうちおよそ258万年前からおよそ180万年前は「ジェラシアン」、およそ180万年前からおよそ78万年前は「カラブリアン」と、いずれもその時代を代表する地層があるイタリアの地名から名付けられています。
一方で、地球の磁場が今の状態になったおよそ77万年前からおよそ12万年前は「更新世の中期」とされ、まだ名前がありません。
仮に千葉県市原市の地層が国際標準地と認められれば、この更新世の中期が「チバニアン」と名付けられることになります。
●地球の磁場の逆転 これまでに11回
地球にN極とS極の磁場があり、地球全体が1つの磁石のようになっているのは、地球の内部にある「外核」と呼ばれる部分による影響ではないかと考えられています。
外核の部分は数千度と高温で、鉄などが液体や気体の状態で存在し、こうした金属が動くことで電流が発生して、磁場ができるのではないかと考えられていますが、詳しいことはわかっていません。
地球の磁場の逆転、つまりN極とS極の逆転は、これまでの研究で少なくとも360万年前から現在までに11回起きたと考えられていて、その最後の逆転が千葉県市原市の地層が示すおよそ77万年前と考えられています。ただ、磁場の逆転がどのようなメカニズムで起きるのかはまだ解明されていないということです。
つづく>>2-5
NHK 6月7日 21時02分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170607/k10011009511000.html
およそ77万年前に地球の磁場が逆転したときの痕跡を残している千葉県市原市の地層について、茨城大学などのグループは、地球の歴史の一時代を代表する「国際標準地」としての登録を目指し、7日、国際学会に申請しました。申請どおりに認められればこの地層が示す時代に「千葉時代」を意味する「チバニアン」と名付けられる可能性があり、審査の行方が注目されます。
地球の歴史の一時代を代表する「国際標準地」としての登録を目指すのは、千葉県市原市の養老川沿いにあるおよそ77万年前の地層です。
茨城大学や国立極地研究所などで作る研究グループによりますと、この地層に含まれている鉱物や火山灰などを調べた結果、およそ77万年前に、地球の磁場、つまり「N極」と「S極」が逆転して今の状態になったことを示す痕跡がはっきりと確認されたということです。
このため、研究グループは、この地層について、およそ77万年からおよそ12万年前にかけての地球の一時代の特徴を最もよく表す「国際標準地」としての登録を目指し、日本時間の7日夜、世界の地質学者で作る「国際地質科学連合」に申請しました。
同じ時期の特徴が読み取れる地層として、イタリアも2か所を申請する見込みで、「国際地質科学連合」は、今後、市原市を含む3か所の中から1か所を選ぶことになる見通しです。
市原市の地層が選ばれた場合、この地層が示す時代に「千葉時代」を意味する「チバニアン」と名付けられる可能性があり、国際学会による審査の行方が注目されます。
申請を前に、7日午前、文部科学省で記者会見を開いた、研究グループの代表を務める茨城大学の岡田誠教授は、「地球の歴史の中でも国際標準地を登録できる時代は残り少なくなってきている。日本で、国際標準地として登録できる可能性があるのは千葉の地層だけで、地球の時代に日本の地名をつけられる最後のチャンスだと思っている」と述べました。
●極地研「登録がかなうこと願う」
研究グループのメンバーで、国立極地研究所の菅沼悠介准教授は「この半年間、申請に向けた追い込み作業を続け、やりきったという思いがある。3日前にも研究グループのメンバーの1人であるフランスの研究者から新たなデータが送られてくるなど、最後の最後までデータの質を高める努力をした。今回の申請でライバルとなるイタリアの地層と比べて、千葉の地層は、太平洋に面していることからより地球全体の状況を指し示すものとして価値があると思うので、ぜひ、登録がかなうことを願っている」と話しています。
●「更新世の中期」が「チバニアン」に
地球が誕生しておよそ46億年の歴史の中で、北京原人やジャワ原人が出現し人類が進化したおよそ258万年前からおよそ1万年前までの時期は「更新世」と呼ばれています。この時期は、氷河期と比較的温暖な間氷期が繰り返された時代で、さらに4つの時代に区分することができます。
そのうちおよそ258万年前からおよそ180万年前は「ジェラシアン」、およそ180万年前からおよそ78万年前は「カラブリアン」と、いずれもその時代を代表する地層があるイタリアの地名から名付けられています。
一方で、地球の磁場が今の状態になったおよそ77万年前からおよそ12万年前は「更新世の中期」とされ、まだ名前がありません。
仮に千葉県市原市の地層が国際標準地と認められれば、この更新世の中期が「チバニアン」と名付けられることになります。
●地球の磁場の逆転 これまでに11回
地球にN極とS極の磁場があり、地球全体が1つの磁石のようになっているのは、地球の内部にある「外核」と呼ばれる部分による影響ではないかと考えられています。
外核の部分は数千度と高温で、鉄などが液体や気体の状態で存在し、こうした金属が動くことで電流が発生して、磁場ができるのではないかと考えられていますが、詳しいことはわかっていません。
地球の磁場の逆転、つまりN極とS極の逆転は、これまでの研究で少なくとも360万年前から現在までに11回起きたと考えられていて、その最後の逆転が千葉県市原市の地層が示すおよそ77万年前と考えられています。ただ、磁場の逆転がどのようなメカニズムで起きるのかはまだ解明されていないということです。
つづく>>2-5