国内外で積極的な出店を続ける一方、M&A(合併・買収)や新業態開発にも果敢に挑んでいる。
外食のガリバー企業を目指す粟田貴也社長(56)は「世界を一気に攻めるには丸亀の他に柱が必要」と強調する。
−2025年までに国内2千店、海外4千店を目標に掲げる。
「海外で丸亀製麺の伸びしろは大きい。今は200店ほどだが、千店は優にいくだろう。
だが、海外を4千店で埋め尽くすには、日本食だけでいいのか疑問がある。
日本人は『世界に冠たる日本食』と自負している面があるが、それはハイエンド(高級志向の客向け)を見た場合の話。
大衆が認知しているかと言えば、その限りでない。世界の覇権を握っているのはファストフードだ」
「国内外で6千店舗という目標は、今の延長線上にない。だから、常にチャレンジすることが大事だ。
まだまだ輪郭が見えていないが、同時多発的に、国内外でM&A(合併・買収)と新業態開発をやっている。
これからの積み重ねで、1、2年後にはその輪郭がぼんやりと見えてくるのではないか」
−海外のアジアン・ファストフードを相次ぎ買収した。
「例えば、マレーシアで見つけて買収したタイの『ボートヌードル』という業態は、非常にカジュアルで、
ムスリムの若い女性に圧倒的人気を博している。将来、宗教人口はムスリムが最大になるであろうことを踏まえれば、
買収はイスラム世界への入り口になる。入っていければ、海外4千店の輪郭も少しは濃くなってくるのではないか。
タイ料理では、屋台料理をコンセプトにしたアジアン・ファストフードも買収した。
オランダ発で欧米のトレンドを取り入れており、かなり店舗数が増える可能性を秘めている」
「香港の人気ヌードルチェーンもグループ化した。世界中に相当数の華僑が散らばっており、
どこに行ってもチャイナタウンがある。だったら、チャイニーズ食をやった方が早いかもしれないなと。
もしかしたら、丸亀製麺を超えるかもしれない」
「正直、どれが当たるかは分からない。ただ、数本の柱を持っておくことで、より可能性は高まるんじゃないかと思っている」
−M&Aの基本的なスタンスは。
「自分たちが手掛けられないような業態に関しては、M&Aをしていきたい。
自社の強みを補完していくM&Aであり続けたいと思っている」
「例えば、われわれはロードサイドではうどんで非常に大きな成功を収めてきた。
だが、ラーメンでは、大きな成果が伴わなかった過去の反省がある。
そこで『ずんどう屋』というラーメン屋でM&Aをさせてもらった。
われわれが成功しえなかったロードサイド型のラーメン屋という業態で、ずんどう屋はしっかり成功してきた。
われわれは丸亀製麺を全国に展開しているので、全国のロードサイドの情報を持っている。
だから良い物件さえあれば、どんどん出店していける。われわれの力で、ずんどう屋を横展開できればいい」
「もう一つは立ち飲みの『晩杯屋』。居酒屋は斜陽期だ。飲み方が変わってきたことが背景にある。
これまでは、酒をくみかわしながらコミュニケーションを取っていた。いわゆる『飲みニケーション』。
それが今やSNS(会員制交流サイト)の普及で、コミュニケーションの取り方が変わった。
コストもある程度はSNSにかかるので、どうしても外食費は抑えがちになる。
そこで今はやっているのが、ファストフードの『ちょい飲み』。
その典型が立ち飲みじゃないかなと思ったので、ドリンク200円台、あても100円台と廉価な晩杯屋を買収した。
コンビニで買い物をして家飲みするのと同等の価格だ。
まだまだ業態としてはブラッシュアップしなければならない部分はたくさんあるが、
可能性を秘めた居酒屋チェーンだと思っている」
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