7日の米金融市場では、午後の早い時間に米国債が急伸したことで一気に出来高が膨らみ、混乱が走った。
ここ1週間値上がりしていた大型テクノロジー株が売り込まれ、ナスダック総合指数が反落した。
米国債相場は反発。新興国通貨の大幅下落などを受けてリスクオフの動きが広がった。

・米国株はS&Pとナスダック反落、大型ハイテク株売られる
・米国債は反発、10年債利回りは一時9bp低下し2.88%に
・NY原油は反発、OPECが増産で合意しない可能性など材料視
・NY金は小反発、200日移動平均は引き続き下回る

  ブラジル通貨および株の急落と、その他新興国市場の混迷の兆しを受けて、米国債に買いが殺到。
10年債利回りは数分以内に9ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)も下げる場面があった。

  S&P500種は前日比0.1%下げて2770.37。ナスダック総合は54.17ポイント(0.7%)安の7635.07。
一方、ダウ工業株30種平均は95.02ドル(0.4%)高の25241.41ドル。
ニューヨーク時間午後4時45分現在、米10年債利回りは5bp低下し2.93%。

  ニューヨーク原油先物市場のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は反発し、
1週間ぶり高値。22日の石油輸出国機構(OPEC)総会を控え、増産発表の有無を巡り材料を見極める展開。
バーンスタインのアナリストらは、OPEC総会が合意なしで終わる可能性があると指摘した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物7月限は1.22ドル(1.9%)高の1バレル=65.95ドルで終了。
ロンドンICEの北海ブレント原油8月限は1.96ドル高い77.32ドルで終えた。

  ニューヨーク金先物相場は小反発。
12、13両日の連邦公開市場委員会(FOMC)での政策金利引き上げが広く予想される中、
金は200日移動平均を下回ったままとなった。
ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物8月限は0.1%高の1オンス=1303.00ドルで終了。

  市場分析のニュースレターを創設した元メリルリンチのトレーダー、トム・エッセイ氏は
「利回りが低下して金融株がほぼ横ばいとなり、ハイテクが重しとなって相場を押し下げている」と指摘した。

  新興国市場が2013年の「テーパータントラム(市場のかんしゃく)」以来最大の試練に直面する中、
トルコ中央銀行は過去2カ月弱で3回目となる利上げを実施してアナリストの意表を突いた。
ブラジル中銀も投機家の攻撃から自国通貨を防衛する取り組みを強化した。

  米国債市場では10年債先物が午後に不可解な急上昇を見せたのち、上げ幅をやや縮小した。
ブラジルをはじめとする新興国のリスクやイタリア情勢が意識され、逃避需要が高まった。
米東部時間午後1時30分過ぎに米国債先物の出来高が急増し、市場関係者の不意を突いた。

Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-06-07/P9YZLF6JTSEA01