中略
ーこの業界は、コンビニのようにあからさまに拮抗してないから、強いライバル意識も生まれづらいのでしょうか。
皆、仲がいいと言うか、やはりぬるいというか…。提案ベースではもちろんコンペでやりあうのでしょうが、良くも悪くも既存の業界のしきたりの中での戦いでしかなく、視野が狭いのでは?と感じます。
最大の要因は、クライアント側(バイサイド側)のプロフェッショナル化がまだまだ甘いことですね。普通の日本企業には、マーケティング部や広告部の担当者が、3〜4年したらぐるぐるジョブローテーションをして出ていってしまうという問題があります。外資は別ですが。
そのぐるぐる人事に対して、広告会社が共犯者になり「新任でよくわからないですよね?大丈夫です、私たちに任せてください。全予算を預かります。」のようなやり取りが多発します。この共犯関係が、結局両サイドにとってよくないことになっています。
特に最近思うのが、すごく進んでいるトップ1〜2割のクライアントと、いまだに昭和のクライアントとの差がますます広がっていることです。内部に一人でも優秀でイケている人がいれば、なんでも色々なことに挑戦できる時代になってきているのに、ジョブローテーションの部分がボトルネックになってしまって、何もできなくなっています。
また、デジタルになって枠の供給独占がなくなったため、マージンビジネスとして、上流層を囲いさえすれば良い、というモデルは成立しなくなりました。
そうなると良くも悪くもフィーで、ビジネスを成り立たせるしかありませんよね。
ですが、フィー制について、広告業界は、医者や弁護士のみたいに資格ライセンスがあるわけではありませんから、そもそもなんでこの人にお金を払うのだっけ?ということになります。
そうなると、1、尊敬されるか、2、信頼されるか、3、いやなことを引き受けてくれるか、この3つくらいしかないわけです。
「3、いやなことを引き受けてくれるか」のように、めんどうくさい事を引き受けますビジネスはなかなか成り立ちません。広告業界では、特に総合代理店の上位企業が、世の中平均より人件費が安ければいいですけど、明らかに平均より高いわけですから。
そうなると、個人として「1、尊敬されるか」「2、信頼されるか」しか選択肢はなくなります。このような状況に、もっと緊張感を持ったほうがいいと思います。
―「尊敬され、信頼される」されるのが大切ですね。
はい。ただその「信頼」について間違った方向にいく人たちをちらほらみます。
僕の直感ですが、40歳より上の広告代理店の営業マンが、デジタル対応といって今から細かい、例えばアクセス解析士の資格をとったりするようなことをやる必要ないと思っています。
代理店の営業マンが果たすべき最重要の機能は、手配士のように、イケてるスタッフを呼び集めアサインする機能ですので、誰がイケているのかを把握していて、そのイケてる人間をやる気にさせてアサインすることできればいいと思うんですよ。その時に、最低限の知識はもちろん必要ですけれど。
ただ、細かいところが分かる必要はなくて、本質的にどのような価値を果たせばいいのかが理解できていればいいと思っています。
あらためて、よく胸に手をあてて、自分たちは何を付加価値にしているのか考えたほうがいいですね。
https://techwave.jp/archives/line-mr-tabata-interview-about-digital-marketing-01.html
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