那覇市公園に孔子廟、無償提供は違憲? 最高裁判断へ 阿部峻介 2020年7月29日 21時42分

 那覇市が儒教の祖・孔子を祭る「孔子廟(びょう)」の敷地を無償提供しているのは
政教分離を定めた憲法に違反するかが争われた住民訴訟があり、
最高裁第三小法廷(戸倉三郎裁判長)は29日、審理を大法廷(裁判長・大谷直人長官)に回付した。
長官と判事全員の15人による審理となり、憲法判断が示される見込み。

 問題となっているのは、一般社団法人「久米崇聖(くめそうせい)会」が市の許可を得て、
2013年4月までに松山公園内の一角に建てた「久米至聖廟(しせいびょう)」。
約1335平方メートルの敷地内に中国の思想家・孔子を祭る大成殿や
戦前の公立学校など複数の施設がある。「体験学習施設」として届け出を受け、
当時の故・翁長雄志(おながたけし)市長が条例に基づき月約47万円の使用料を全額免除した。

 中国に反発する市民運動家の女性が14〜15年、「違法な支出だ」として使用料徴収などを求めて提訴。
二審・福岡高裁那覇支部が差し戻した後、政教分離が正面から争われていた。

 市側は「施設にも社団法人にも宗教性がない」と反論したが、
差し戻し後の18年4月の那覇地裁判決は、孔子の霊を迎える祭礼を営んでいることや
参拝者が訪れている点などから宗教性を認定。「無償提供は憲法が禁じる
宗教団体への特権付与にあたる」として、使用料を徴収しないことは違法と判断した。

 19年4月の福岡高裁那覇支部判決も違憲と認めつつ、
使用料の徴収額を示さなかったため、女性と市の双方が上告していた。(阿部峻介)
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 《政教分離の原則》 公権力を持つ国や自治体は宗教に干渉してはならず、
宗教的中立性を保たなければならないという原則。戦前、国家神道に特権的な地位が与えられて
軍国主義に進んだ反省から、憲法20条と89条で定められている。(以下略)

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