「ブラック企業」に「黒人差別」の指摘 どう思いますか 藤えりか 2020年7月29日 6時00分

 働き手にとって問題のある会社を「ブラック企業」と呼ぶことに、異論が出ています。
悪質な職場を分かりやすく共有・追及する上で役割を果たしてきた言葉ですが、
黒人(Black)などから不快に受け止める声が上がっており、
意図はなくても差別を助長しかねないとの指摘も出ています。

日本在住の黒人「悲しい」
 米ニューヨークから2004年に日本に移住したアフリカ系米国人の作家バイエ・マクニールさん(54)は、
08〜09年ごろ、「ブラック企業」という言葉を初めて聞いた。

 「最初は意味がわからなかった」。英語で「ブラックビジネス」といえば、黒人社会のために
黒人などが営む事業を表す。しかし日本では、長時間労働や賃金未払い、ハラスメントなどで
働き手を追い込む「違法で悪質な企業」を指す言葉に「ブラック」が冠されていると知り、悲嘆した。

 その後も相次ぐ過労自殺などで労働問題への注目が高まるなか、
「ブラック企業」という言葉を耳にする機会は年々増えていき、逆に良い会社を「ホワイト企業」と呼ぶ動きも
出てきた。こうした「黒=悪」「白=善」というイメージの新しい造語が広がることに、マクニールさんら
日本在住の黒人などで作るフェイスブックのグループでも、疑問の声が上がっているという。

 マクニールさんは言う。「ブラックという言葉は、黒人差別に使われてきた経緯もある。
もちろん英語にも『ブラックリスト』などの否定的な表現はあり、だからこそ私たちは
言葉のイメージを変えようと努力しているのに、日本では逆の状況が起きて悲しい。
日本人以外は日本語を解さない、と思われている表れかもしれない」(以下略)

ttps://www.asahi.com/articles/ASN7X31M3N7QULFA03Q.html